私の愛したマクド

私はマクドナルドが好きだ。街中であの黄色いMが視界を掠めるとつい魅入ってしまう。そして、ポテトの一つも食べていかなければならないという強迫観念に囚われるのだ。

その理由として、私の育った田舎町にはマクドがなかった。当時はコンビニもなく、スーパーが一件あるだけ。住民達がオラが町を揶揄して陸の孤島と呼ぶその地域にあって、1時間に一本のバスで1時間かけて人里に降りてきて初めて味わえるのがマクドナルドのハンバーガーだったのである。

もちろん、そんな具合であるから往復2000円かかる運賃というハードルから特別な用事がなければ街に出ていく事も出来ない。必然的にこども達はマクドナルドに特別な思い入れを抱いて育ち、大人になってもマクドナルドを見掛けたら何か買っていかずにはいられない呪いに掛けられている。

訓練された地域住民は他の店で昼食をとったあとにお土産にマクドナルドを買っていくのだ。冷めたハンバーガーやポテトなど都会の人間にとっては無価値であろう。無論、そんなことは我々も重々承知している。それでも次にいつマクドナルドのある街に出てこれるかわからないという恐怖にも似た感情から買わずにはいられないのだ。

あの健康に悪いとされるハンバーガーやポテトがどうしてこんなにも私達を捉えて離さないのか。そして実際にたまに食べたときの途方もない満足感はどこからくるのだろうか。

未だに10年後の自分の姿など欠片も想像出来ないが、その時になってもコーラ片手にハンバーガーとポテトを貪っている自分がいるだろう事だけは容易に確信出来るのだ。

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