桜咲く

昨日、近所の公園に桜を見にいってきた。訪れたのは池をぐるりと囲む緑地公園で、桜の木が連なって植えられている。

京都の田舎で農業をしていた頃は、畑に向かう際にその季節だけ観光バスがくる程度の名所を横切っていたのでわざわざ見に行くという発想がなかった。その後、紆余曲折あって大阪で働いていた頃は桜が咲いている事に気を止めるような余裕がなかったように思う。

この日は幸い天候に恵まれ、出迎えてくれた春を彩る桜の花びらの密度に圧倒された。普段、好きな花はと聞かれると答えに悩む私だが、こうしてみるとやはり桜が好きなのだということに気付かされる。

翌日は雨の予報でせっかく綺麗に咲き誇るこの桜もすぐに散ってしまうのかと勿体ない気持ちになったものだ。しかしながら、その儚さが日本人の心に寄り添ってきたのもまた事実である。

太平洋戦争において1万もの日本人兵士が玉砕するという激戦地となったペリリュー島から司令部に打たれた最後の電報に「サクラ」が用いられている。70年以上も前にフィリピン東方に位置する南国の戦地で追い詰められた日本人兵士の心にあった桜への愛着が、現代を生きる自分にもひっそりと根付いてるのだろう。

勿論、それは私だけでなく公園内で見かける他の花見客も実にいい顔をしている。普段あまり他人に関心を持たない私だが、そんなことにふと嬉しさを感じてしまうのだ。

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