サボテン

農家としてコカブ、トマト、ナスを主に育てていた私がだが、現在は部屋にこのサボテンが一つ置いてあるのみである。ビアポップというらしい。何か月か前に市の植物園にきていた露店で見かけて買ってみた。窓際においてたまに水をやるくらいなので、その存在自体を忘れてしまうことがある。そんなでもサボテンは逞しく、買ってきたときより大きくなったような気がしている。

私は物臭なので手間がかからないのはいい。農業をしていた時も食えるもの以外を育てる気はなかったし、老人ホームの介護士をしていた時も経験を買われて園芸クラブの担当になったのだが、花の苗を買ってきて世話をするのは面倒臭いと思っていた。ただ、やっぱり女性の利用者は花が咲いているのを見れば喜ぶし、男性の利用者も「綺麗やな」と笑顔を零すので私の不手際で枯らす訳にもいかないと義務感で世話をしていた。

とはいえ、別に花が嫌いなわけではない。手間暇かけてまでその美しさを愛でる気がないだけだ。現に植物園に出掛けもすれば、桜の花を見にいきもする。要は花より団子というやつである。どうせ労力を使うのであれば見るだけの花より食える作物を育てたいのだ。

今は借りている部屋に小さなベランダがあるが、そこで野菜を育てようという気も起きない。そんな手間を掛けるならスーパーで買った方が安上がりだからだ。

そんなこんなで今、私の部屋にはサボテンがいる。

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