教えて！コタエル先生！　人生って無意味ですよね

Q.
コタエル先生を完全無欠の敗北者(パーフェクトルーザー)と見込んで質問します。
突然ですが、人生って無意味ですよね。僕に限らず誰の人生も等しく無価値だと思います。どうして生きているのかという質問に全ての人に当てはまる答えがないのがその証拠ですよね。
本当に価値や意味のあるものなら僕の納得する答えくらいとっくに見付かっているはずじゃないですか。それがないのが人類が出した人生についての答えだと思います。
周りを見てみても生きている意味なんてなさそうな人達で溢れているし、そうじゃない人だって死ねば何もなくなるという事実から必死で目を逸らしているだけですよね。
先生が人生についてどう思っているかはなんとなく分かるんですが、その上でどんな見解を持っているのか教えてください。

A.
この私を捕まえて完全無欠の敗北者とは随分とまあ買い被ってくれたものですね。当ブログに「負け犬の哀愁」なんて名前を付けたから勘違いさせてしまったのかもしれません。
誤解のないよう言っておくと、これは安っぽい自己憐憫などではなく憧憬を込めたものなのです。なぜなら私は負ける以前にとことんまで戦ったことすらない臆病者ですからね。ゆえに全力を賭して戦い敗れていった人達に強烈な憧れを持っているのですよ。
ドラゴンボールでいえば、たった一人でフリーザに挑んだバーダックや、トランクスに未来を託して片腕を失いながら人造人間17号１８号に挑んだ悟飯を狂おしいほどに愛しているのです。

この時点でお分かりいただけたと思いますが、私はあなたのお考えに賛同しかねます。共感を示すと思われたのであれば心外なほどにそれは私の美学に反しているのです。
他人様の哲学や人生観をとやかく言うのは趣味ではないんですが、どう思うかと聞かれれば答えないことにはコタエル先生の名折れですから少し私の考えを述べていくことにしましょう。

まず、あなたの思想の何が美しくないかについてですが。あたかも諦観に基づいて人生を無価値としているくせに、その根拠がどこか物質的で俗物的な観念から抜け出せていないように思えるのです。色即是空を語りたいなら俗世を離れて半年ほど山で修業でもしてきてからにすべきではないでしょうか。
分かりやすく例えると、酒好き女好きを自慢にしているような住職に説教を垂れられてもお前が言うなと思いますよね？これと同じで漫然と日々を過ごした結果として人生が無価値などと言っているあなたの言葉は誰の心にも響かないんです。

これはもしかすると核心を突いてしまうかもしれず心苦しいのですが。これから言うことはいわゆる一種の同族嫌悪という事でご容赦ください。
思うにあなたはこれといって人並みの努力を何もしてこず、結果としてこれまでの人生において価値ある成果を上げてこられなかったのではないでしょうか。
もしそうなら自分の人生だけを語るにとどめ、それをこの世の真理かのように触れ回ることはやめておくようお勧めします。

代わりに私が知っている世界の真理を一つだけ教えて差し上げます。人生の価値を決めるのは他人ではなく自分自身です。己の人生に価値を見出している全ての人達は残念ながら保育園に上がるころには自然とそのことに気付き始めているものです。だから他人の人生が無価値など小学生でもなかなか言わないのですよ。

曰く、完全無欠の敗北者であるらしい私でさえそこまで末期的な思想には至りませんでした。そんな事を本気で信じ込めるのは本気で戦ったことがないどころか、全身全霊で勝負に挑む人の美しさに触れたことがない人間だけです。幸いなことに、私がそうならなかったのは、傷を背負いながらも希望を捨てずに努力を続けた人間を知っているからでしょう。

偉そうな事を言っていますが、あなたと私の違いなどそういった人を見た時に素直に悔しがれるかどうかです。自分の弱さを認めさせられる事に屈折した感情を抱きながらも、その人が持つ強さにどうしようもなく憧れてしまうのです。自分もあんな風に生きられたらと焦がれるその感情に理由などありません。自分なりにその強さに近付こうとする事に自己満足以上の意味などないのですから。

そういえば、私の敬愛する中島みゆきさんが名曲「ファイト！」の中でこう歌われています。戦う君の歌を、戦わない奴らが笑うだろ。そう、まさに自分は戦いもせず諦めている癖に、必死に努力する他人を無価値と断ずるあなたの事を言っているのです。そんな奴の言うことこそ意味がないから気にするなと。

このようにあなたが無価値と断じるあなたの人生、経験、それによって得た思想や価値観までも余すことなく無価値です。あなた以外の何者もその評価を覆すことは出来ません。同様にあなたの思想が他人の人生の価値に影響を与える事もないので、それこそ意味のない事を考えるのはやめておいた方がいいですよ。

以上、どうせ無価値な人生なら一度くらい何か本気で打ち込んでみてはいかがでしょうか。少なくとも私はそんなあなたを見て笑ったりは決してしませんよ。陰ながらあなたの今後のご活躍を祈っております。