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このたび、ココナラであなたを主人公にした物語の執筆をさせて頂くサービスを始めました。
あらかじめお話をお伺いし、それを基にオリジナルの2,000字程度の短編小説をお作りします。オプションにて文字数を増やすことも可能です。
疲れた心の栄養剤として自分を励ましたい時や、一風変わった誕生日プレゼント、記念日の贈り物、人生の節目の記念などにいかがでしょうか?
実際の出来事に則した現実的な物語から、空想を交えたフィクションまで、ご希望に合わせたスタイルの物語をお作りします。
また、お子様へのプレゼントにお子様を主人公にした児童書スタイル(小学校低学年~)の物語も承ります。
以下に一例を掲載します(2000字)。興味を持たれた方は是非読んでみてください。
お客様ご注文内容:「高校生の時の受験勉強ばかりしていた自分が、ある日不思議な猫に導かれて、様々な世界へ行く、前向きになれる話をお願いします」
『坂の上の猫』
この街はともかく坂が多い。
どこに行くにも急な坂道を登らないといけなくて、まるで体力のない私に意地悪をしているんじゃないかと思うことがある。
かくいう私の通う公立の進学校もそんな坂の上に建つ高校だ。そこの二年生である私は受験勉強に追われる日々で、クラスでの人間関係がいまいち上手くいっておらず一人で過ごすことが多い。
今日も学校が終わって一人、学校からの坂道を下っているとメールが届いた。
『ゴマ油買ってきて』
母からだった。折り畳み式のケータイをパカッと開けて内容を確認し、『わかった』とだけ返して溜息をつく。
その時だった。ケータイを仕舞った私の足元、電柱の影に隠れるようにして体を丸めた猫がいた。しきりに右の後ろ足を舐めている。よく見ると小指ほどの木の棘が刺さって抜けないようだ。
「大丈夫? 抜いてあげようか?」
しゃがみ込んで声を掛けてみると、私の言葉が伝わったのか猫は背中を下にして地面に転がると患部を見せるようにこちらに右の後ろ足を向けてきた。
「痛いかもしれないけど我慢してね」
左手でその足を支えて右手の指先で棘を摘まんで一息に引き抜いた。痛みを感じたのか「フギャッ」と声を上げた猫は、体を震わせて毛を逆立たせるとまた傷口を舐め始めた。
しばらく様子を見ていると、気が済んだのか猫はコロリと寝返りを打つように四本足で立つとすたすたと歩き始めた。
少しいったところで顔だけをこちらに向けてくる。「ついてこい」と言われた気がして、私は猫に付いていくことにした。
いつもの通学路から外れていくつか角を曲がると広い空き地に出た。こんな所があったのかと思っていると、私の足元で猫が空き地に向かってニャアっと鳴いた。
その瞬間、なにもなかった空き地のそこかしこに色とりどりのドアが現れた。驚いて声も出ない私の目の前に現れたドアがひとりでに開く。
思わず後退って恐る恐る様子を窺う私の横をすり抜けるように猫がドアに飛び込んでしまった。それを追ってドアの向こうに足を踏み出すと、そこには別世界が広がっていた。
外国だった。
石畳の地面に薄い赤や緑のカラフルな色の建物が並んでいる。
行き交う人々の会話からそこが英語圏だという事は分かったけど、建築物の特徴などから国を特定するほどの知識はない。
ヨーロッパのどこかだろうか。そんな推測をしながら猫の後を追ってどこかメルヘンチックな市街地を歩いていると急に景色が切り替わった。
今度はアジアのどこかだろうか。壮大で煌びやかな寺院の中を猫と私は歩いていく。不思議なことに橙色の法衣を着た僧侶らしき人達は私達のことが見えていないようだった。
次々と移り変わる景色の中を私は猫に案内されるように歩いていく。
活気の溢れる市場の木箱を並べた露店で一歩も引かない値段交渉をしている浅黒い肌の人達がいた。
砂漠に沿って走る道を背中に荷物を載せたラクダの列を引き連れて歩く人達がいた。
様々な生活を送る人たちの横を通り過ぎながら、次々と現れる景色に魅了された私は弾むように足を運んでいく。
ふと、猫が歩みを止めた。
これまでと違って景色が向こうから迫ってきた。
その迫力に思わず背筋が震えるのを感じた。
目の前にこちらを飲み込むような圧倒的な緑と大河が広がっている。息を吸うと、濃厚な植物の香りと質感を感じるほどに湿度を含んだ空気が胸に流れ込んでくる。
そこは広大な熱帯雨林だった。力強く流れる川の音に紛れてあちこちから様々な動物の鳴き声が聞こえてくる。
その事に少しの怖さを感じながら、私は胸の内に広がる興奮を隠しきれなかった。
自分の住む街とは懸け離れた、想像もつかない光景が地球上には存在するのだ。
「綺麗……」
その事実に思わず感嘆を漏らした私を猫が見上げて再び歩き出そうとする。
「もういいよ」
それを見て私は思わず待ったをかけた。
「ありがとう。こんな素敵な場所に連れて来てくれて。あなたも怪我した足で疲れたでしょう?」
そう言って抱き上げると、猫は笑ったように「ニャア」と鳴いた。
ふと気付くと、先ほどの電柱の側に立っていた。胸元に抱いた猫が身じろぎして軽やかに地面に降り立つと、そのままどこかへ走り去ってしまった。
どこか取り残された気持ちで周りを見渡してみる。なにも変わらない。そこにはうんざりするほど通い慣れた坂道が続いているだけだった。
「私も帰ろっと」
だけど、私の心は嘘のように晴れ晴れしていた。
閉塞感の象徴だったこの坂道も世界に広がっていることをあの猫が教えてくれたような気がした。
なにより、最後に見た熱帯雨林の景色を思い出すと胸が熱くなる。森林関係の分野に進んであの大自然に関わられたら素敵だな。
いつか自分の足であの子が見せてくれた景色を見に行けるように頑張ろう。その決意が私の足取りを軽くしてくれていた。
以上となります。一例で、知人からの依頼を形にしてみました。もし興味を持たれた方や自分の物語を書いて欲しいという方がいらっしゃいましたら、以下のリンクから詳細をご確認ください。
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